yoshitake_1201’s diary

テストのこととか、ペンギンのこととか書きます。

JaSST'19 Tokyo D2「あなたに捧げる~TPI Nextを活用したチームメンバーの問題意識から始めるテストプロセス改善【導入時:改善計画立案編】リターンズ」の参加ブログ #JaSST19Tokyo #JaSST #jasstd2

講演内容

タイトル:「あなたに捧げる~TPI Nextを活用したチームメンバーの問題意識から始めるテストプロセス改善【導入時:改善計画立案編】リターンズ」
jasst.jp

講演資料

こちらからダウンロードできます。
www.software-quasol.com

講演中のツイートまとめ

togetter.com


JaSST'19 Tokyo、D2「あなたに捧げる~TPI Nextを活用したチームメンバーの問題意識から始めるテストプロセス改善【導入時:改善計画立案編】リターンズ」の参加ブログです。
講演中に私がおぉ!と思ったことや、自分でまとめたいと思ったことなどを中心にしています。
なので講演全体を網羅したものではないです。
※ 特にTPI Nextと至るところに書かれていますが、このブログではTPI Nextにはほぼほぼ触れていません。

以下、まとめです。

「疑ってかかって!」

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講演資料P4より

講演中、様々な場面で度々この言葉を安達さんが言われていました。
そもそも、TPI Next公式トレーニングを受けてないから…と資料にはありますが、その他にも似たような文脈で以下の言葉を使われていました。

  • 「"モデル"は体系的なものだから一般化されている」
    • 端折っていることに注意
  • 「書いてあることだけを信じないでください」
  • 「(モデルが)合わないと思ったら捨てていいんです」

発表されている内容や紹介されているモデルは全部が全部正しい(= 自分たちの組織に合う)かはわからないので、「とりあえず信じること」はやめようね、気をつけようね という意味で使われているんだろうと私は感じました。

プロセス改善の位置づけ(分類)

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講演資料P9より

自分の周りでは、「改善」といえば「製品品質改善」をイメージする方が多いかと思っています。
が、プロセス改善というのもありますよね。
(どちらも大事なんですが、個人的にはプロセス改善の方を重要視しています)

こういった分類については、以下のセッションでも似たような話が出てきました。

プロセス改善モデルの改善が失敗しやすい原因

プロセス改善モデルは失敗しやすい、という話がありました。
その原因は 「プロセス改善モデルスコープを勘違いしているから」
というのが1番の原因かなと私は認識しました。
(現に私も失敗したことがある勢の1人です)

以下は「問題・課題ベースの改善」と「プロセス改善モデルベース改善」の特徴の違いをまとめられた表と、P17、P83、P86を参考に私が作った図です。

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講演資料P10より

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講演資料P17、P83、P86を参考に作った図

注意したいポイントは以下です。

  • 「人の感情部分」は「プロセス改善モデル」のスコープ外
  • モデルなので一般化されている
    • 大事なこと以外は端折ってる
    • 自分たちの背景・実情と異なることが多分にある

これらのことを認識しない状態で「モデル = 銀の弾丸」と思って使うのでだいたい失敗してしまうとなるのかなぁと。

またモデルを読んだ人が「こんなん使えないよ」と言うのを私はたまに聞くのですが、その多くは「モデルに具体的なことが書かれていないから」という意見が多かったです。 ただ、そもそも「モデル = 体系的」なものなので、その意見はその通りですよね。 「現場を良くしたいけどゴールも見えずどうしたらいいかわからない」というときに「モデル」を使うと良いなぁと思いました。

「問題・課題ベースの改善」と「プロセス改善モデルベースの改善」のハイブリットなアプローチ

これが今回の事例だそうです。
どちらか片方ではなく、両方使うということでした。

「感情は論理に勝る」

講演資料P83より

講演終了間際、↑のページで安達さんが強く言われていたのがこの言葉です。
講演資料や↑の図にある通り、「(現場の)人の感情」はプロセス改善モデルのスコープ外です。
だから どれだけ論理的にモデルを説明しあるべき姿を説いても、最後の最後に「嫌なものは嫌」と言われたらそこで終わるんです、と。

このことから改善の始めの一歩を踏み出すときに失敗する多くの原因は↑なのかなぁと思いました。
(自分が失敗した原因もこれにあたるかなぁと)

※補足
今回発表された事例は「改善意識がある方が1人、その周りはそこまでの意識はない」という現場の事例でした。
だからこのことが強く書かれていると思いました。
また改善の大きな悩みの1つに「メンバーや自分の感情(モチベーション)の維持」があるとも思いました。

事例の中でTPI Nextを活用したのは3ヶ所

講演資料P80より

今回の事例(アプローチ)のSTEP全体像が↑です。
その中でTPI Nextのエッセンスを使ったのは3ヶ所だけでした。
TPI Nextを活用したのも、事例当事者である中山さんがたまたまTPI Nextを使っていたから活用してみた、という感じだそうです。

なので、TPI Nextを使わないほうがいいなら(使わなくてもいいなら)無理に使う必要はない。と言われていました。
最初に言われていた、「合わないなら捨てていい」ということを強調されている感じですね。
感情に重きをおいて、プロセス改善モデルで手段を探す、素敵なアプローチだと思いました。

TPI Nextについて

TPI Nextを読みやすくする背景

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講演資料P29より

この図のような組織のテストチームに所属していると思ってTPI Nextを読むとわかりやすいよ。と言われていました。
確かに、TPI Nextは組織全体像やステークホルダとの関係を意識しないと読みときづらいなぁと思っていました。
ありがたい背景です。

TPI Nextの注意点 = たくさんの場所に散ってる

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講演資料P45より

キーエリア名と内容が一致していない場合があるとのことでした。
講演中は時間の都合で↑の一番左のものだけ質問となりました。
会場では、「手法の実践」「テストケース設計」の順で手が多く上がったと記憶していますが、正解は「テスト担当者のプロ意識」に存在するでした。

なぜこの分布になっているのかを考える

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講演資料P31に赤枠と赤字を足したもの

↑の資料は、講演資料P31に私が赤枠と赤字をつけたものです。
なぜ「テスト業務の専門性」のAやB(初期レベル)が少ないかな?
そう思って見てみると、初期レベルでは「テスト業務の専門性」よりも「利害関係者の関係」や「テスト管理」を重要視しているからと読めるよね。
という安達さんの見解でした。

私はこういう風に意識して読んだことがなかったので、かなり腑に落ちました。
その視点で見ていくと、「利害関係者との関係」はどのレベルでも基本的に満遍なくプラクティが分布されているので、定常的に重要(なによりも大事)と読めるかなぁと思いました。

TPI NexTは人に着目している部分が多い

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講演資料P43より

体系的なモデルなのに技術だけでなく人に着目していてバランスがいい、という話でした。
話は変わりますが、JSTQBシラバスの中でも人に着目する要素がかなり出てきますよね。
最初受験したとき(2年前ぐらい?)は「資格試験なのになんで人間関係?」と思ったんですが、今となってはその理由もこれと同じかなと思います。
テスト業界全体として、人間関係(ステークホルダー、テスト実行者、テストリーダー、テスト管理者など)に重きをおいているんだなぁと感じました。

感想

「改善活動」について詳しくまとめられた発表で、とても勉強になりました!
個人的なことですが、最近「改善」という言葉があまり好きではなかったんです。
ただ講演を聞く → 知人に講演内容の説明をしたおかげで、改善活動にも種類があるなぁと気づくことができ「改善」という言葉が少し好きになりました。
(改善は、お悩み解決と研鑽に分けられる、と今の自分は考えています)

「モデルが作られた背景を考える」「なんでこの分布になっているか考える」といった視点を持っていなかったので、その視点を知れたのがよかったです。
モデルなどの文章を読むと、難しい言葉で短く書かれているので「それが正しいか?」などの思考が止まっていたなぁと。
なので、今後は疑いながら噛み砕きながらかかろうと思いました。

安達さん、講演ありがとうございました!

参考

※ TPI Nextの監査ツール日本語版が公開されています。
以下のサイトからダウロードできます。
www.tmap.net

※ JaSST'17 Hokkaido 中山さんの事例
jasst.jp